野外クッキング 『上手くいかない!?』の先にあるもの

野外クッキング 『上手くいかない!?』の先にあるもの

9月から始まった月2回の野外クッキング。
2月に入り、回数も残り3回となりました。

クッキングで作るメニューは毎回同じ。
『羽釜ご飯』と『具だくさん豚汁』です。

明日はクッキングの日だねと伝えると、
「明日クッキング?やったー!」
と喜びの声が聞こえたり、
「明日はきっと早く食べ終わるよ」と言うので、
「何で?」と聞くと、
「だってクッキングで作るご飯おいしいから
早く食べ終わっちゃうんだもん♪」
と話していたり、楽しみにしている姿が見られます。

野外クッキングという名の通り、
釜戸で火を起こし、野菜を切って、羽釜でご飯と豚汁を作ります。
みんなで協力し、係に分かれて役割分担。

・お米を研いで浸水する係
・火を起こしてご飯を炊く・豚汁作りの火を管理する係
・野菜やきのこなどの食材を切る・ちぎるなどして食べやすい大きさに準備する係
・野菜をいためて出汁を入れ、灰汁を取り…と、豚汁作りをする係
と、それぞれチームを作り、年長さん中心に進めていきます。

この野外クッキング。
いたるところに、『上手くいかない!?』ことが隠れています。

・擦ったマッチの火が杉の葉に燃え移らない…
・友だちとおしゃべりしている間に火が消えちゃった…
・お米を研いでいる時に勢いが良すぎてお米がこぼれた…
・こんにゃくを小さくちぎっているうちに、手が冷たくなってきた…
・皮を剥いた大根を包丁で切りたいけれど、他の子が使ってて包丁が残ってないなぁ…
などなど。

その度に、焦る・へこむ・悲しくなる・悔しい・困った…と、いろいろな感情が渦巻きます。

しかし、『上手くいかなかった』という経験は、『何でだろう?』『どうしたらいいかな?』
を考えるきっかけをくれます。

お米を研いでこぼした経験のある子は、
次のクッキングで一緒にお米研ぎをする子に、
『そっとだよ』と伝えていたり…

包丁を他の子が使っていて困った時、
最初は大人に『困った』を伝えていたけれど、
大人と一緒に包丁を使っている友だちに自分で伝える経験を
重ねることで、次第に大人に『困った』を言わずに
『○○ちゃん、それ切り終わったら次貸してね』と伝えていたり…

『今日は火が消えなかったね』という言葉に、
『うん、だって前はおしゃべりしてて火を見てなくて消えちゃったから。今日は火見てたよ』
と、前の自分を思い出して話してくれたり…

『上手くいかなかった』こと、
そして『次はこうしよう』が、
少しずつその子の心の中に積み重なっている様子を感じます。

クッキングの後のふりかえりや、
始める前にみんなで確認する時間に、
『クッキングで失敗したことや困ったことがあった人?』
と聞くと、
『あった。あのね、マッチの火がついたところを杉の葉にぎゅっと当ててたら消えちゃうから、少し離してするといいよ』
と、自分たちの『上手くいかなかった』体験談を話してくれる姿もありました。

色々なことがすぐに出来るようになるわけではないし、
今回は上手くいったけど、次の時には失敗した…もある。
失敗した分、次に上手くいって嬉しくなる時もある。

そんな一つ一つの経験が、
火を起こせる!包丁を安全に使える!の自信に繋がるだけでなく、
子どもたちの考える力や踏ん張る力、挑戦する姿など
色々な力に繋がっているといいなぁと思います。

そして、毎回頑張った最後に待っているものが、
『クッキングのご飯美味しかった~!』
の言葉であることも、嬉しく感じています♪

みっちゃん

 

お米を研ぐために、まずはザルに移す作業。こぼさないようにそーっとそーっと…

水で洗った後は、羽釜の中へ。
水の量は自分たちの手で測ります

野菜を切る係の子どもたち。
「これくらいだったら食べられる?」と切った野菜の大きさを確認したり、おしゃべりしながら進めていきます。

この日初めて野菜係を選んだ年少Rくん。
包丁を安全に使えるように気を付けることを伝え、最初は大人と切っていましたが、最後の方には自分で気を付けながら切る姿もありました。

火起こしを実際にする前に、まずは薪の組み方やマッチの擦り方など確認!
何度も火起こし係を経験してきた年長Sくんが、クイズ形式で火起こしについて教えてくれました。
Sくん『パチパチくん(杉の葉)の次は何でしょう?』
みんな『竹!』
Sくん『じゃあ、竹はどうやって組むでしょうか!?』
実際に竹を置いてみて確認。
さぁ、確認が出来たら、釜戸のところへ行って火起こしだ~!

火起こしに興味はあるけど、いつも少し遠めから参加していた年中・年少さん。しかし、この日は同じ釜戸の火起こしに頼れる人がおらず、『自分たちがやらないと火はつかない!』ことに気付いた…!
薪を自分たちで運び、一本ずつ釜戸に入れるのも積極的に進めていました♪

豚汁の出汁は、煮干しから取っています。
煮干しをすくったあとは、内臓と頭を取り除き、身は豚汁の中へ入れ、美味しく頂きます♪

お肉を炒めたあと、まずは根菜を炒めます。こぼさないように気を付けながら、みんなで協力して羽釜の中へ。

お肉と根菜を炒め、ぶくぶくと煮立って来たら灰汁取りへ。すくう人と、灰汁をもらう人とに役割を分けて進めています。

この秋にさせて頂いた落穂拾い。
ちょっとずつちょっとずつ籾摺りして玄米にしていき、とうとう1月末にすべてのお米が玄米になりました!

2月のクッキングで、玄米を羽釜ご飯の中へ。その日の『はじまりの会』で、落穂ひろいのことや籾摺りしたことを思い出しています。