🌸おやま祭り🌸

🌸おやま祭り🌸

日中の気温が安定し、暖かい日が続くようになり、とても過ごしやすくなってきましたね。

暖かくなったことで、生き物が活動し始め、お山の教室の子どもたちがダンゴムシやケムシをたくさん見かけるようになりました。

3月に巣立った子どもたちは、小学校に入学し1カ月が経ちました。新しい友だちができたかな、小学校でもしっかり遊んでいるのかな…と時々考えてしまいます。

実は、去年の年長さんが巣立つ前にお山の教室では『お祭り』が開催されました。

(おやま祭りの看板を作っている様子)

 

おやま祭りの経緯

1月に入り、年長さんが巣立つまであと2カ月というところで、スタッフで巣立ちについての話し合いをしました。

一昨年の年長さんは、子どもたちと話し合い巣立ちの日とは別に保護者の方を招いての『お店屋さんごっこ』をしました。

今年も、年長さんの『やりたいこと』をやりたいなぁというスタッフの気持ちがあり、年長さんと話し合うことにしました。

年長さんには、巣立ちまで残り少しということ、4月からは小学生になることを話し、お山で過ごす時間が残りわずかだと伝えました。

「お山で過ごす時間は2月と3月しかないのだけど、みんなはお山で何かしてみたいことある?」

「たかいところから ジャンプしてみたい」

「おやまで しないことが してみたい」

「おはなをつんで はっぱをツボにして さしたい」

と自分がやってみたい意見が出てきました。

自分がしてみたいことは巣立ちまでに自分たちが頑張ることにし、お山の教室全員でやってみたいことがないかを聞きました

「じゃあ、お山みんなでやってみたいことは?」

「ブランコをつくりたい。いえもつくりたい、2かいだてがいいな」

「2かいだていいね!わたしもつくりたい!」

と意見がでました。しかし、たくさんの意見は出なかったため、お家で考えてもらうことにしました。

 

そして、家でみんなでやってみたいことを考えた年長さんと、再び話し合いをしました。

「かきごおりが つくりたい」

「ピザをつくりたい」

「なんだか おまつりっぽいね」

「うちのおばあちゃん キンニャモニャ(海士町の民謡)うたえるよ!」

「おまつりのふくがきたい」

お家で考えてきたことが広がっていき『お祭り』をすることになりました。

 

年長さんから出たアイディアから『ピザ作り』と『かき氷』をすることになりました。

また、保護者の方を招待することや時間などをスタッフで話し合い、お祭りの内容は子どもたちと相談をして、少しずつおやま祭りの形が見えてきました。

 

子どもたちに、保護者の方が来るのは12:00~13:00 ということ、ピザを一緒に食べた後に少し一緒に過ごす時間があることを伝えて、その時間に何をしたいかを相談をしました。

「おおなわとび  みせたい」

「うたも うたいたい」

「キンニャモニャおどりたい」

みんなで話し合っていると、ひとりの子どもから 「げき やりたい」 と意見が出てきました。

劇と聞いて、他の子どもたちからも「やりたい!」の声が上がりました。

 

お山の教室では劇遊びをしたことがなかったため、スタッフは「やったことがない劇!?」と驚きました。

「劇できるのかな?」「そもそも劇がどういうものなのか知っているのかな?」と心配になりました。

しかし、子どもたちからは「やりたい」の声がたくさん上がっています。

「他の園に通った経験がある子はなんとなくイメージは分かっているのかもしれないね」「子どもたちに劇を知ってもらうところから始めたらいいかな」とスタッフでも話し合い、劇ごっこに挑戦することになりました。

 

そうしておやま祭りの内容を話し合っていき、歌を歌うことと劇ごっこもすることに決まりました。

(カレンダーを使っておやま祭りの日にちを確認しています)

 

おやま祭りの内容と模索する劇ごっこ

おやま祭りでは

・ピザ作り

・かき氷作り

・劇ごっこ

・歌を歌う

の4つをすることに決定しました。

 

おやま祭りで劇ごっこをすることが決まり、子どもたちに何のお話でしたいのかを聞きました。

「うらしまたろう」

「おおきなかぶ」

「ももたろう」

「バムとケロ(絵本)」

楽しそうなものがたくさん出てきました。

 

劇ごっこ自体がどんなものかを子どもたちが知れるように、話の内容が分かりやすい『おおきなかぶ』で体験してみることに。

普段と同じように遊んでいる中でみっちゃん(スタッフ)が、何人かの子どもたちを誘って、おおきなかぶごっこをすると、興味を持った子どもたちが集まり7~8人で「おおきなかぶ」を楽しむ姿が見られました。

「もういっかいやりたい」と子どもからの声も上がり、劇ごっこの楽しさに気づいた様子でした!

 

次は、桃太郎にも挑戦。

桃太郎・おじいさん・おばあさん・犬・サル・キジ・鬼に分かれてみました。

すると「桃太郎が3人!? キジが2匹!? さるが2匹!? ……え?」と驚いてしまいましたが、遊びが中心の劇ごっこ。配役の人数はあまり気にしません(笑)

おじいさんとおばあさんは子どもからの人気はなく、スタッフでやってみました。

始める前に、話の内容やセリフなどを確認しつつ、子どもたちの近くにスタッフが立ち、隣でセリフを伝えたり「なんていうんだっけ?」と声をかけながらの劇ごっこ。

(桃太郎がきび団子を渡すシーン)

 

桃太郎と鬼の戦うシーンでは、桃太郎も鬼も戦いごっこに夢中になったり、互いに「いつまで戦うんだろ…」と続けていたりと、大人も子どももどうやって終わるのかな状態でした。

そこでみんなに相談をしました。

「なかなか鬼が倒せないね、どうやって鬼は負ける?」

「やられたーっていうのは?」

「たおれる!」

「なら両方やってみよう」

再び、戦いのシーンに挑戦です。

しかし、鬼たちは「やられたー」と言うタイミングが難しく、ヒートアップする戦いごっこ。

スタッフが1人の鬼の隣に行き「そろそろ やられたって言ってね」と声をかけると、そこで鬼が「やられたー」と言い、鬼たちが倒れ込みます。

子どもたちが楽しそうにしている姿を見て、劇は桃太郎で行くことに決定しました。

 

当日までに遊び感覚で何回も桃太郎ごっこをしてみんなで遊びました。

この桃太郎ごっこがおもしろく、毎回配役が変わるのです。

毎回配役が違うため、一人ひとりがだいたいのセリフを覚えてしまいました。

「きびだんごをください」

「そうじゃないよ、きびだんごをくれたら おともしますっていうんだよ」

子ども同士でセリフの訂正が入ったりしていて、自然とセリフも決まりました。

(おばあさんとおじいさんが山や川へ行くシーン。桃太郎役の2人が桃になって待っています。)

(桃太郎が犬にきび団子をあげるシーン。実は写真奥の木では鬼が木登りをしながら出番を待っています)

 

桃太郎が鬼を退治しに行き、戦いのシーンになると…。

負けたフリをする鬼がなかなか倒れなかったりして、ヒートアップしていき、

「たたかれて いたかった!」

「つよくしてないし!」

と声が飛んできます。

痛い思いをして喧嘩になることもたくさんありました。

 

喧嘩になる様子を見ていたスタッフから子どもへ「痛い思いしてるけど楽しい?」と声をかけました。

すると「たのしくない」「いたくてイヤだ」と声があがりました。

みんなで楽しく劇ができる方法を考えると「あてなかったらいいんじゃない?」と意見が出ました。

そうして戦いのシーンを何回も話し合うことで『たたく真似をする』『鬼はやられたら倒れる』など、楽しく遊べる劇になり、当日に向けて劇ごっこを何度もしました。

戦いのシーンはうまくいくかなぁ…。

(戦いシーン後の話し合い)

 

おやま祭りでの話し合いで歌も歌うことが決定したため、お山でも時々歌っていた『せいかいじゅうのこどもたちが』と『あしたははれる』を歌うことになりました。

普段は伴奏に合わせて歌うことが少なく、大人の声に合わせて一緒に歌うことが多かったのですが、今回の歌はキーボード伴奏ありでの挑戦となりました。

 

当日

子どももスタッフもドキドキの当日がやってきました。

おやま祭りは12:00~13:00まで…

登園した子どもたちは当日をとても楽しみにしていたので、落ち着かない様子もあり、中には「少し緊張する」という子どももいました。

はじまりの会で桃太郎の配役を決めると、お山基地班、ピザ窯班に分かれて準備に取り掛かりました。

会場はイルカ広場(お山基地から金光寺山に上がる途中にある広場)のため、ピザ釜班のみんなで必要な荷物をリアカー2台に積んで広場まで運びました。

(リアカーで荷物を運ぶ様子)

 

(リアカーに乗らなかった机は手で運びました)

 

ピザ窯の都合でピザが一度にたくさん焼けないため、ピザでお腹いっぱいにならないと考えおにぎり作りもすることに。

そこでお山基地班は普段クッキングでもしているお米炊きと、当日のピザ用の食材準備をしました。

(自分たちでご飯を炊く様子)

お米も炊けて、荷物も運べたところで子どもたちはピザ作りへ。

生地の上に、自分の好きなように具材を載せていきます。

もちろん片付けも自分たちで!

焼く準備が出来たら、スタッフが火を付けたピザ窯にピザを入れて焼いていきます。

 

そして12:00!!

みんなの家族が集まりました。

家族と一緒にピザとご飯を食べる姿はとても楽しそうです!

ピザの具を先に食べたり、ピザにご飯をのせてピザご飯にする子もいました。

かき氷は、時間の関係で食べることが出来なかったため、子どもたちは午後のおやつ時に、保護者の方はお迎え時に食べることになりました。

 

ご飯を食べ終えると、いよいよ劇ごっこです。

みんなで輪になり「「 がんばるぞー、えいえいおーー!! 」」

おばあさん:スタッフ

おじいさん:子ども1人

ももたろう:子ども3人

いぬ:子ども3人

さる・子ども1人

きじ:子ども1人

おに:子ども4人・スタッフ

 

朝決めた、配役に分かれ、位置についてからスタートになりました。

僕も子どもたちと一緒に鬼役になったため、舞台の裏にある整備された草木の中へ。

鬼役の子どもたちは「ドキドキするね」と言いながらも、近くにあった木を見て登りたい気持ちが我慢できず、木登りをしながら出番が来るのを待っていました。

そんな鬼役の子どもたちの様子を見ていて、スタッフの僕の方がドキドキしました(笑)

 

気になっていた、桃太郎と鬼の戦いのシーンは、桃太郎も鬼も、友だちを傷つけないように戦うふり。

手は当たらないように気を付けます。

鬼はその動きに合わせて、倒れて起き上がって、再び倒れて…「まいった!!」。

(倒れている子どもが鬼役です)

そうして、桃太郎に村から奪ったお宝(近くに落ちていた木の枝)を返して戦いのシーンは終わり、桃太郎と仲間たちはそのお宝をもって家に帰っていきました。

(家ではおじいさんとおばあさんが、みんなの帰りを待っていました。)

 

次は、みんなで並んで歌の発表。

たくさん練習した『あしたははれる』『せかいじゅうのこどもたちが』を披露します。

年長さんの「今からあしたははれるを歌います」を合図に歌のスタートです。

難しいリズムの場所があり、歌声が伴奏より先走る場面もありましたが、スタッフが少し歌うと元通り!

再びリズムに乗ることができ、スタッフは一安心。

そしておやま祭りが無事に終わりました。

終わった後の子どもたちは、とても満足したようで、緊張感が解けたいい笑顔でした!

 

その日のふりかえりの時間には、子どもたちから

「げきが たのしかった」

「ピザ おいしかった」

「みんなで ごはんを たべたのが うれしかった」

など、嬉しい言葉がたくさん出てきました。

 

時間がなく、お祭りの間に食べられなかったかき氷ですが、だいだいシロップをかけて「さむい…」と言いながらも、おやつの時間に子どもたちはおいしく食べました(笑)

 

来年も再来年も、巣立つ前に年長さんの『やりたいこと』ことをやっていきたいと改めて思いました。

年長さんが中心になり、自分たちで計画をして活動して「おやま たのしかった!」と巣立つとスタッフもとても嬉しく感じます。

お山の教室らしく、気持ちを大切にする活動を今後も続けていけたらいいなぁと感じました。

あがちゃん。