『困った』を言える大事さ

『困った』を言える大事さ

【お山の教室:『困った』を言える大事さ】

お山の教室では、寒い冬真っただ中でも野外で遊び過ごしています。

重ね着をしたり、軍手をはめたり、温かいお茶を飲んだり、体を動かして遊んだりと、体が温まるようにと工夫しながら冬の季節も楽しんでいる子どもたちです。

しかし、寒さの中では、手がかじかむ時や、体が冷えて動きづらい時など、自分じゃどうにも出来ない!という時があります。

ある日のこと。

歩いている途中、寒いから上着のチャックを上げたいけど、手がかじかんで上手く上げられない最年少Aちゃんから「出来ない…」「手伝って」と涙と言葉が出ました。

それを聞いて、「Mちゃん出来るよ」と声をかけた最年少Mちゃん。

Aちゃんはチャックから手を離し、Mちゃんに委ねます。

Mちゃんがチャックの合わせの部分をひっかけてあげると、残りはAちゃんが自分でつまみを持って上まで上げることが出来ました。その後涙も止まり、嬉しそうに進んでいくAちゃんでした。

 

こんな風に、やりたいけど上手くいかないことがあった時、友だち同士で助け合う姿が見られます。寒い時だけでなく、遊ぶ時や、生活の中でも見られる姿です。

『困った』時には、涙が出たり、固まったり、子どもによって姿は様々。

自分だけでは難しかった…、頑張ったけど出来なかった…、ちょっと疲れて頑張れない時もあるでしょう。

そんな時、『ちょっと友だちや大人の助けを借りたいなぁ』と思う気持ちが出てくることも大事な心の動きだと思っています。

そして、その気持ちを『手伝って』や『一緒にやって欲しい』と言葉にして伝える力も育っていって欲しいなと関わっています。

 

『手伝って欲しい』という気持ちを受け取ったあと、『いいよ』と快く助けてあげる子どもたち。

しかし時には、相手の『ここを助けて欲しい』という気持ちよりも、自分の『お世話してあげたい』という気持ちが上回ってしまい、助けて欲しいこと以上の手伝いをしてしまうことも…。

そのため、助ける時には全てをしてあげるのではなく、困っている本人が力を借りたいと思っている部分を助けてあげることが大事だよと話しています。

必要としているところ以上に助けてしまうことが続くと、してもらうことが当たり前になり、自分でやってみることや考えることの機会を奪ってしまうことにも繋がってしまう…そんなことを伝えながら、どんな助け方が良いだろう?と一緒に考えるようにしています。

 

この冬の時期、年長さんが小さい子に「〇〇が小学校行ったら助けられなくなるから、自分でも出来るようにやってごらん」という言葉もよく聞かれたりします。

自分で出来ることが増えていくことは、自信にもつながっていくので、こんな年長さんの言葉は頼もしくもあります。

 

人は一人で生きているわけではないし、出来ないということもあって当たり前です。

そんな時には、困ったことを周りに伝えて助けてもらおう。

でも自分で出来るところ、頑張れるところはやってみよう。

 

そして、日々の中で困って助けてもらった経験が、困っている友だちの助けになろうという気持ちのきっかけになったらいいなと思っています。

みっちゃん

 

雪遊びのあと、一つのハンガーにスキーウエアの上下2つををどう干したらいいか分からなかった年長Sちゃん。先に干していた年長Tちゃんと年長Siちゃんが干してあげると声をかけていたのですが、「次また雪降った時に自分で干せるように伝えられるといいな」と言うと、やり方を教えながら「やってごらん」と声をかける2人。Sちゃんが自分で出来るようにと上手に伝えていました。

大掃除の日。雑巾を洗うために腕まくりをしようとしたけれど「固い…上がらない…」と困っていた最年少Aちゃん。傍にいた年中Aちゃんが腕まくりを手伝うも上手く上がらず、年長Sちゃんも手伝い2人がかりで腕まくり。無事に上がり、また大掃除へ向かう3人でした。

「手が冷たい…」と話してなかなか足が進まなかった最年少Mちゃんを見て、「一緒に行こうか?」と声をかけた年中Gくん。その言葉に徐々に足が動くMちゃん。Gくんが手を温めながら一緒にお散歩に出かけました。

年中Mくんの長靴が泥にハマり抜けなくなった…!近くにいた友だちが年中Mくんを助けるために力を合わせて引っ張り、抜けた!と思ったら、抜けたのは足だけでした(笑)

なんだか元気のない年中Gくんに気付いた年長Rくん。「どうしの?何かあった?」友だちの表情や動きを見て、気に掛ける姿もあります。

軍手をはめる時、「出来ないからやって」と声をかけてくれた最年少Mちゃん。でも少しずつ自分ではめられる時もあることを知っていたスタッフは、「まずはやってみようか。難しかったらいつでも手伝えるからね」と傍で見守り。コツを伝えながら見守っていると…「自分ではめれた!」とっても嬉しそうでした!

雪遊びの日、寒くて泣いていた最年少2人の姿に気付いていたRくん。気が付くと近くに行き、自分が集めていた雪を2人にあげていました。2人のにっこり笑顔に、嬉しそうなRくんでした!

薪拾いの日。出発前に、「みんなでえいえいおーしよう!」と声をかけた年長Sちゃん。その声掛けに集まる子どもたち。そして、大きな声で「えいえいおー!」。みんなで力を合わせよう!という気持ちを感じました。