『いざ』という時のために!
(上の写真は死んでいるスズメバチを観察しています。)
野外での活動では、毒を持っている生き物や植物と出会うことが多くあります。
春から秋にかけてはアシナガバチやスズメバチなど毒の強い蜂が飛んでいる姿を見かることが多く、8月の終わりには活動場所でマムシを見かけました。
危険な生き物は、子どもたちも実際に見た時に気付けるようにと、『色』『模様』『形』などの特徴を写真で一緒に確認しています。
そのために、
蜂は…
・蜂が寄ってこないように、黒色の服は着ないこと。
・蜂が飛んで来たらしゃがんでじっとしていること。
・顔の周りなどに飛んできても、絶対手で追い払わないこと。
(怖い時は目を瞑って耳をふさぐ!)
マムシは…
・草の茂みにはマムシが隠れているかもしれないこと。
・茂みに入りたい時には太めの枝を持って音を出し、足音を大きくして進むこと。
・もしマムシがいたら枝などでつついたりせずに少し距離を取ること。
等々、まずは危険な生き物と出会わないような工夫を第一に考えながら、出会ってしまった時にも噛まれたり刺されたりしない対処法を身につけていきます。
対処をしっかりしていても、回避できないことがあるかもしれません。
そんな時のためにも、もし刺されたり噛まれたら、どんな処置をして、どんな動きをするのか?を大人も子どもも折々に確認しています。
出会った時のことを考えると、野外で過ごすことを控えようと思うかもしれませんが、
お互いに命ある生きているもの同士、
むやみに殺す・避けるのではなく、
その生き物の特徴をよく知り、
一緒に共存していける方法を考えていきたいと思っています。
8月には、『蜂に刺された』という内容で訓練をしました。
もし蜂に刺された時にはポイズンリムーバーを使って少しでも毒を吸い出します。
本当に『刺された!』時には痛みや驚きでパニックになりやすいものです。
だからこそ、ポイズンリムーバーという道具を使うと毒を吸い出せて痛みも少し和らぐことや、実際に肌に当てて吸い出す時の痛みや感覚を知っていることは、慌てずに処置を行えることに繋がると思っています。
その為に、子どもたちに実際に見せ、経験しておくことを大事にしています。
年少のRちゃんは、この訓練の時に怖くて涙があふれ、友だちがポイズンリムーバーの経験をしている中、「怖い…」と泣き続けていました。
それでも大事な訓練だと分かっているようで、「どう?出来そうかな?」と声をかけると、泣きながらも自分から手を大人の前に出し、ポイズンリムーバーを体験。
終わったあとも涙がぽろぽろ…、でも落ち着いたあとには「出来たね」とちょっと誇らしげでした。
その数日後、訓練日にお休みだった年中さんにポイズンリムーバーの説明をする日がありました。
そして、訓練日には泣いていたRちゃんが、「もう怖くないよ。していいよ。」と泣かずに手を出したのです。
反対の手で自分の目を覆いますが、表情も落ち着いたもの。どうしたら落ち着いて出来るか…も自分なりに考え、『目を隠す』ことにしたようです。
「よし、やるよ~」と声をかけて、ポイズンリムーバーを使った後には、全く泣くことなく「痛くなかったよ」と教えてくれました。
実際に体験したことを思い出し、その経験が『もう大丈夫』という気持ちに繋がった様子です。『知っている』ということが、安心感をもたらしたのでしょう。
そのまた数日後…、遊びの中でRくん(年長)とRくん(年中)が「蛇ごっこしよう」と大人を誘いました。
Rくん(年中)が蛇役で、その蛇に大人が噛まれるとSちゃんとYちゃんがやってきて……ポイズンリムーバーに見立てた枝で毒を吸い出し始めたのです。
「毒で熱が出てるかもしれないから」と熱を測るYちゃんの姿もありました。
訓練したことが遊びに見られることは、頭の中に残ったイメージを自分でもしてみることで心の整理をし、また自分事として捉えていくきっかけにもなると思っています。
『自分の体を守る』ために大事なことは、大人に言われたから…ではなく、自分事として考え行動できるようになっていけたらと願いを込めて、危険なことに対する知識を伝えることや訓練することをこれからも大切にしていきたいです。
みっちゃん
まずは大人の手を使い、ポイズンリムーバーとは何か?を説明していきます。
吸われるときどんな痛みがするのか?痛みの強さは?など実際にこどもたちも体験していきます。
みんながポイズンリムーバーを使う中、怖い気持ちが残り涙が出るRちゃん。
訓練日にお休みだった子へ説明した日。訓練日にも体験したMくんが見本になってくれました。
訓練日には泣いていたRちゃん。2度目のその日には、泣かずに出来てにっこり!
消防訓練ごっこ。容器を的にして、消火器に見立てた竹鉄砲で水を当てていきます。
大人の消火訓練をよく見ているからこそ、遊びにも出てきます!
お山の本棚には危険生物の図鑑が。実際に出会った時、何気ない時、図鑑を開いては何が危険か?どれくらい痛いのか?など子どもたちとおしゃべりしています。