子どもたちの手作り卒園式『巣立ちの日』

子どもたちの手作り卒園式『巣立ちの日』

2021年4月1日、今年度のお山の教室が始まりました。

今年度が始まった…ということは、昨年度巣立った年長さんたちが小学校へ通うということです。

先週には小学校の入学式があり、入学式のあとには制服姿とランドセル姿を見せに来てくれました。

先月まで一緒にお山で遊び過ごしていた子どもたちの小学校入学。

大きくなったなぁという嬉しさと共に、一緒に過ごさなくなるんだなぁと少し寂しくもあり、けれど巣立った4人はきっと小学校でも楽しむだろう!という誇らしさがあります。

 

そんな年長さんが、お山で過ごした最後の日はどんな日だったのでしょう。

年度の最後の日は、お山で「巣立ちの日」と呼び、お山の教室から巣立つ子どもたちを送り出す日としています。

巣立ちの日には、巣立つ子どもたちをお祝いする「巣立ちの式」を行います。

昨年度は、子どもたちと一緒に朝の活動の中で巣立ちの式の準備をしました。

 

巣立ちの日当日…

どことなくワクワクしている年長さん。

そして、年中・年少・最年少さんたちはというと…何だか楽しそうなことがある日だなと同じようにわくわくしている子、いつもと何かが違うぞ!?とそわそわしている子…と様々です。

さて、今日はどんな日になるのでしょう!?

みんなが揃ったら、まずは毎日しているはじまりの会から。

はじまりの会では歌を歌い、みんなの名前を順番に呼んでいくのですが、最後の返事には一層気合も入り良い顔です。

はじまりの会のあとは、みんなで分かれて巣立ちの式の準備をしました。

式は雨でない限り野外で行っているのですが、この日は気持ちの良い晴れの日でお山基地(写真奥に見える建物、お昼寝などを行う場所)の前で行うことが出来ました。

 

準備前にはみんなで「えいえいおー」と気合を入れて、さぁ!準備開始です!!

式のために作った式次第の紙を机の上へ。文字の周りは子どもたちに絵を描いてもらうことにしていたので、みんなに声をかけると、なぜか年長さんだけが集まって描き始めていました。

年中さんの中にも、お絵描きが大好きな子たちがいるのですが、役割分担なのか?!お絵描きには来ずに、基地前の花飾りへ。

年長さんたちは声を掛け合いながら絵を描き、式次第を華やかにしてくれました。

自分たちの座る椅子や、大人たちが座る椅子も準備します。

力仕事は任せてと言わんばかりに、年少さん・年中さんの男の子たちが重いベンチや椅子を運びました。

「こんなのかるい!」「おもいのもてるよ!」と頼もしい姿です。

みんなが座る椅子を、丁寧に雑巾で拭いていきます。

基地の前には飾り付けもしました。

この日までに、遊びの中で作った紙の飾りや、朝摘んだり持ってきたりしたお花を飾ります。

自分で飾りつけをする中で、「どこに飾ったらいい?」と尋ねる子どもには、「どこに飾ったら綺麗に見えるか考えて、自分の好きなところに飾ってごらん」と話すと、”こうやって飾りたい!”と自分が思う飾り方をちょっと意識して飾る子もいて、思い思いに作業をしていました。

 

子どもによっては今日が何の日かピンと来ておらず遊ぶのに忙しそう…と思いきや、実は遊びつつみんなが準備している様子を見ていたりして…大きくなったらみんなもこの日を過ごすんだよ~!

 

そうこうしているうちに、準備が整い来賓の方や保護者の方が徐々に集まってきました。

今年はコロナということで悩みましたが、野外でする式であること、まだ島では感染者が出ていないことを考慮し、マスク着用して子どもたちの成長した姿を皆様に見て頂くことになりました。

 

さて、巣立ちの式が始まりました。

園長の深谷さんからの挨拶、年長の女の子たちはスタッフのなっちゃんお手製の花を飾ったツルの冠を身に着けて耳を傾けます。

写真では見えませんが、男の子には胸飾りを。

一人ひとりに渡す証書はスタッフの手作りです。

証書を手にしたあとは、お山で一緒に過ごした子どもたちから応援メッセージを送りました。

お祝いの決まった言葉はありません。それぞれの気持ちをそのまま素直に伝える場です。

みんなの前なので恥ずかしく伝えられなかった子も多かったですが、その中でも年中の女の子が「しょうがっこうにいっても わすれないでね」「うんどうかい がんばってね」など、今の気持ちを伝える姿がありましたよ。

 

そのあとは、それぞれ家族からのメッセージももらいました。

メッセージを聞いていると、どの保護者の方も、子ども一人ひとりの成長を本当に嬉しく感じているんだなということが伝わってきました。

しっかり目を見て聞いている子や、いつもと違う雰囲気で照れからかメッセージを伝える自分の親と目を合わせようとしない子もいましたが、大好きな親からの温かいメッセージは子どもたちにしっかりと伝わったことでしょう。

来賓の方からや以前お山で働いていたスタッフからのお祝いの言葉も頂き、スタッフからも巣立つ子どもたちへメッセージを送りました。

巣立ちのプレゼントでは、お山の普段の活動の中でツルを切ったり鉛筆を削ったりして使っている肥後守(簡易折りたたみ式刃物)と自分たちで染めたハンカチを送りました。

このハンカチは、椿の花で煮染めをしたものです。

年中・年少・最年少さんは、進級のプレゼントとして、てぬぐいを染めました。

たくさんの大人と友だちに見守られ、年長さんたちは巣立っていきました。

どんな風に小学校生活を送っていくのか、どんな風にこれから成長していくのか、遠くからですがこれからも見守っていきたいと思います。

 

 

番外編 椿の花の煮染め

お山の遊びの中で、子どもたちと草木染めもしていきたいねという話も出て、昨年度は卒園と進級のプレゼントを染物にしてみようとなりました。

お山のフィールドや金光寺にはたくさんの椿の木があって、ちょうど染物をする時期にたくさん花も咲いていたこともあり、椿の花ですることに。

金光寺の遊歩道には、たくさん椿が落ちていました。崖上に咲いている椿まで取ろうと登っていく子どももいましたよ。

花を子どもたちと拾い集め、早めに集めたものは冷凍して保管。しっかり色が出るといいねとたくさん集めました。

さて、染める日当日、お鍋いっぱいに椿の花を入れていきます。

火を焚きぐつぐつと煮ていくと、水に色がついてきました。

色が濃くでるように、事前に焼きミョウバンでばいせんもしてみました。

模様がつくように輪ゴムで結ぶ子どもたちの表情は真剣です。

年長さん以外の子たちは、普段お山で使えるようにてぬぐいで。

染めた後広げてみると、輪ゴムで結んだ部分に模様がつきました!

普段のフィールドが自然の中だからこそ、自然のものを使った遊びを広げていけます。

自分たちへのプレゼントが自分たちで染めたもの(作ったもの)であることは、自然のもので色がつくことへの面白さを感じたり興味関心が広がって欲しいということだけではなく、物への愛着や大事にする気持ちも育って欲しいという気持ちもあります。

大事に使ってくれたらいいなぁ!

 

2020年度のお山を支援してくださり温かく見守って下さった皆様、本当にありがとうございました。

そして2021年度もよろしくお願いいたします。

 

みっちゃん