幼児期は自己肯定感を育てる大切な時期である しまね自然子育てセミナーを受講して

幼児期は自己肯定感を育てる大切な時期である しまね自然子育てセミナーを受講して

しまね自然子育てオンラインセミナーをお山の教室スタッフで受講しています。

しまね自然子育てセミナーについて詳しくはこちらから。

第1回 目の講演は、竹内延彦氏の「自然保育への招待状 ~幸せな人生にかかせない幼児期からの学びと育ち~」でした。

竹内氏は長野県池田町教育委員長で、長野県の「信州型自然保育(信州やまほいく)認定制度」の創設と普及推進の立役者として活躍された方です。

こちらのセミナー、信州やまほいくの経緯などのお話もありましたが、根幹となる幼児期の体験の重要性を、様々な資料や事例をもとに具体的にお話ししてくれました。

保育士以外の保護者の方も、これを知っていたらすごくいいんじゃないかと思い、要点をシェアしたいと思います。

 

幼少期の体験が影響する自己肯定感

日本では全国的に年齢があがっていくのにつれて自己肯定感が大きく低下するというデータが問題となっています。

自己肯定感とは、そのままの自分で大丈夫と思えるかどうか。そのままの自分に満足しているか、自分が好きであるかといったこと。

これは、何かができるからではなく、できないことも含めてありのままを受け止めてもらうことで得られる力だとことです。

そう、大人はついつい「できること」に注目してしまうけれど、「できなくてもいい!そのままでいいよ」という対応も大切だということです。

この自己肯定感を高く保つことで、幸せな人生が送れると言っても過言ではないようです。

自己肯定感が高い子を調査したところ、幼少期の豊かな自然体験や生活体験があるということがわかってきているようです。

 

なぜ、幼少期なのか。

その理由に、ジェームズ J.ヘックマン著幼児教育の経済学」を引用してくださいました。

能力には下記2つの能力があります。

・非認知能力(みえない能力)
自己肯定感、創造力、協働力、社会性、規範意識、意欲、
主体性、危機管理力等、人間力の基礎。

・認知能力(見える能力)
算数や英語などの教科科目。

自己肯定感も非認知能力の一つにはいっています。

この2つの能力を植物で例えると、非認知能力は根の部分であり、認知能力は枝葉の部分であります。

この成長を支える根っこが太く強く張れば張るほど、地上の木も太く高く伸びることができます。

言い換えると、根っことなる部分の非認知能力(自己肯定感など)を獲得していなければ、木となる部分の認知能力(算数など)は伸びないということになります。

植物の根っこが発芽の前に一番先に土壌の中を伸びるように、非認知能力の獲得はできるだけ早期に、幼児期から必要であると書かれているとのことです。

更に、この非認知能力が高ければ高いほど、人生が幸福になっているというデータもあると書かれています。

脳の発達でいえば6歳で90%は完成しているとのこと。

その90%完成してしまう幼少期には次のことが重要であると言っています。

 

幼少期、どんな体験・育て方をしたらいいのか。

信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部本田秀夫さんの言葉を引用していました。(山梨日日新聞電子版「ドクター本田のにじいろ子育て」)

『子どもは自分が望んでいるいろいろなことを思いどおりにしてもらうと、やがて満ちたりて、どんどん自立していくものだ。

満たされれば満たされるほど、むしろ自立は早くなる。子どもの自主性や主体性はやりたいことの中でしか育たない。』

過保護はいいけれで、過干渉はダメ。

子どもの自主性や主体性はやりたいことの中でしか育たないとのことです。

そこで、やはり現在の保育所保育指針にも書かれいてる「子ども主体の保育」が重要になってきます。

先生が、「これをしなさい!」というのでは、なかなか非認知能力は身につかないとのことです。

更に、河合雅雄氏の「子どもと自然(岩波新書1990)」では、

『幼児期には様々なことを「教える」行為は控え脳と体の自己増殖を育てる培地を作ることが大切。幼児の発達への「過度な人為的介入」は避けるべき』

と書かれているそうです。

人為的介入は早期幼児教育(乳幼児の早い時期から英語や算数を教えること)などあてはまるのではないでしょうか。

自己増殖を育てる培地とは、教えられてするのではなく、自分で実際にやってみたこと体験したことが脳や体が実際の体験として自分の身にしていくと考えたらいいかなと思いました。

また、哲学者の鷲田清一氏の『市立芸大の移転を転機に、さらに発展する「大学のまち京都」』引用からは、とても共感できるコメントの紹介が心に残りました。

遊園地型の教育から原っぱ型の教育へ

予測不能なことが起きたときにどう社会を存続させるか、知恵と技をいかに工夫して使うかが問われる。

これまでの教育では教える側が多くのメニューを用意していた。
ジェットコースターかメリーゴーラウンドかと選択するだけの、いわば遊園地型の教育。

これからは、何もない原っぱで自ら遊びのルールをつくり、その空間に意味を与えるよう導く原っぱ型の教育が、とても大事になる。

 

自然保育とは

自然保育は、特別な保育ではなく、従来の保育と同じようにめざすところは同じだということが言われていました。

『子どもの主体的な体験を通じて自分で考え、判断、決定する力が育まれているか、自己肯定感や自分と他者の自由を尊重し共感する力が育まれているかを、日々の保育の中で再確認する』とのこと。

この保育を、自然を通じて、自然を利用しておこなっているのが自然保育です。

ちなみに、「自然保育というが、牛や馬を放牧しているのと一緒で、保育でも教育でもない!?」と言われたことがあるそうです。

これに近いことを聞いたことがあるので、すごくわかります。『自然の中で自由に遊ばせている』と聞くと確かに放牧っぽくみえる。

しかし、放牧は牛や馬が食料を得ているだけ、そこに知的な遊びは一切ありません。

自然保育は、一見自由に遊ばせているようですが、遊び一つにしてもどううまくできるかと子どもたちは試行錯誤し、子どもたち同士で気持ちよく遊べるように試行錯誤し、がまんするところはがまんし、それでも対立したり、感情を抑えきれなくなったり、そんなときには保育士たちが補助したり、保育士は子どもたちが気持ちよく遊べるように場所やモノのセッティングを配慮したり、成長や気になることや今後の気を付けることを共有したり、ちゃんと保育をしているのです。

余談

今回の「しまね自然子育てセミナー」を主催した団体「しまね自然子育てネットワーク」は、島根県内で自然保育をしていたり、共感している団体や個人が加入しています。

お山の教室も加入しており、この団体主催の今年度島根県でおこなう予定だった「森のようちえん全国フォーラム」にも微々たるものですが、お山もお手伝いしておりました。

新型コロナウィルス対策のため「森のようちえん全国フォーラム」は中止になりましたが、そのかわりにオンラインセミナーが行われることになりました。